建築物の給排水計画を進める上で、行政への申請に欠かせないのが「下水道工事の承認図」です。とはいえ、何をどう描けば適切なのか、判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。本記事では、承認図の基本から作図に必要な具体的情報、効率的なまとめ方までを体系的に解説します。
下水道工事に必要な「承認図」とは?

建築物を建てる際、敷地内での排水設備が公共下水道と適切に接続されているかを確認するために提出するのが「承認図」です。この図面は、行政の下水道主管課に提出され、内容の精査を経て承認が下りてはじめて、実際の給排水工事が可能となります。工事の工程においては、承認図が設計図と施工指針の両方の役割を果たすため、非常に重要な書類に位置付けられています。
承認図の基本的な定義と役割
承認図とは、敷地内に設置する排水管やます(桝)の配置、既存の下水道管との接続位置、建物との配管の関係を明記した平面図・立面図・縦断図を含む一式の図面です。これらは建築確認申請とは別に、各自治体の定めに応じた様式で提出する必要があります。給排水設備工事の施工可否を判断する前提資料であり、図面内容が不適切な場合には承認されず、工事全体に遅れが出ることもあります。
この承認図が正確であることにより、施工後の排水トラブルや行政指摘を未然に防げます。また、配管の勾配、既設の桝や配管との接続方法、敷地内でのルート設定などが明確になっていることで、設計から施工、引渡しまでの一貫した品質管理にも寄与します。
なぜ承認図が必要なのか?
下水道工事において承認図が求められる理由のひとつは、生活排水が公共下水道へ適切に流れる仕組みを保証するためです。不適切な接続や誤った施工があった場合、地域全体の衛生環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、事前の図面確認が必須とされています。
また、各自治体には下水道条例や技術基準が定められており、それに準拠しているかを承認図で判断します。こうした制度的背景を踏まえると、承認図の作成は単なる設計作業ではなく、法的・公共的な要件を満たす手続きでもあります。
さらに、承認図は工事完了後の検査や将来的な修繕時にも参照される重要な資料となるため、長期的な視点でも正確性と保存性が求められます。図面は自治体によって提出義務期間や保存期間が異なることがあり、これに対応できる形式での作成が望まれます。
承認図の構造と作成の流れ
下水道工事における承認図は、申請から施工、検査に至るまでの工程を通じて活用される重要な書類です。構造的には複数の図面で構成され、それぞれ異なる役割を担っています。正しい流れで作成を進めることが、スムーズな承認取得とトラブル回避につながります。
平面図・立面図・縦断図の違いと役割
承認図には主に平面図・立面図・縦断図の3種類が含まれます。
平面図では、建物と敷地境界、道路の位置関係、排水経路、桝の配置などを上から見た視点で表します。工事全体の概要がこの図面に集約されるため、情報の整理と配置精度が重要になります。
立面図は、排水管の勾配や深さなど、垂直方向の情報を示す図面です。自然流下が前提となるため、勾配の確保が必須です。桝や配管の高低差を視覚化することで、機能的な問題の有無を確認できます。
縦断図は、特に公共桝や既設配管との接続に関する断面情報を明記する図面です。接続の整合性や掘削深さの判断材料となり、現場での施工精度にも影響します。
承認図作成から提出までの流れ
まず、現地調査を実施して公共桝の位置、道路形状、敷地境界を確認します。その後、ラフスケッチで排水ルートと接続方法の検討を行い、作図へ進みます。
図面はCADソフトなどを用いて清書し、自治体ごとの様式や基準に適合させます。図中の記号や寸法、接続箇所の表記にも注意が必要です。
作成後は社内でのチェックを行い、提出書類一式とともに役所へ申請します。不備があると再提出が求められるため、複数人による確認体制が有効です。自治体によって審査期間や提出条件が異なるため、工程全体に組み込んで計画することが求められます。
承認図作成に必要な情報一覧

承認図は、現地状況と設計意図を正確に反映した図面である必要があります。提出先である自治体が図面を見て一目で判断できるよう、必要な情報を過不足なく盛り込むことが求められます。ここでは、図面作成時に欠かせない主な情報項目と、確認不足によって起こりがちなトラブルについて解説します。
最低限必要な図面情報
まず、公共桝の位置は必ず明記する必要があります。敷地外に設置された桝の種類、接続点、型番などが図面上に示されていない場合、役所による判断ができません。既設の情報を正しく拾い上げ、図中に記載することが基本です。
次に、敷地境界と接道状況を含む道路形状を明示します。特に前面道路の幅員、歩道や縁石の有無、私道か公道かの区別などは、配管ルートの設定や掘削計画に影響を与えるため、必須の情報となります。
建物の配置や外構計画も重要な情報です。どの位置にどの系統の排水が集約され、どこから外部へ接続するのかが明確になっていなければ、実際の施工時に整合性を欠くリスクがあります。
また、配管の材質や径、接続方法、最小勾配といった設備設計に関する技術的要素も、図面に含めるべき情報です。行政の基準に適合しているかを判断する材料になるため、適切な表現と記号の使用が求められます。
さらに、他業種のインフラ設備との干渉についても確認が必要です。ガス管、電線、雨水排水などの埋設物が近接している場合、それらとの位置関係を正確に図面上で把握できるようにしておくことが、安全な施工の前提となります。
確認不足で起こりがちなトラブル例
承認図に必要な情報が欠けていたり、記載内容に誤りがあると、役所から差し戻される可能性があります。たとえば、桝の位置や道路情報に誤差があると、再調査や再作図が必要になり、申請スケジュールに遅れが生じます。
また、配管の勾配が明示されていなかったり、誤った管種を記載している場合も、技術的な不備と見なされることがあります。図面上のわずかなミスが工事全体の進行に影響するため、初期段階での情報収集と正確な反映が非常に重要です。
承認図作成における注意点とリスク管理
承認図の作成は、単に必要情報を記載するだけでは不十分です。細かなルールや提出先ごとの基準に準拠していない場合、申請の差し戻しや工事スケジュールの遅延につながります。この章では、見落としがちな注意点と、それらを防ぐための具体的なリスク管理について解説します。
よくあるミスとその防ぎ方
図面作成時に発生しやすいミスのひとつが、記号の誤用や表記漏れです。排水経路や桝の種類を示す記号は自治体ごとに指定があるため、統一されていない図面は受理されないことがあります。使用する記号類は、事前に自治体の要領を確認し、最新版に準拠させることが基本です。
次に多いのが、縮尺や尺度の不一致です。図面全体で一貫した縮尺を保っていないと、実際の施工時に位置関係の誤認を招く可能性があります。見た目には問題がないようでも、寸法誤差が後の工事に影響することがあるため、作図時には細部まで確認する必要があります。
また、図面内の寸法線や記入内容が読み取りにくい場合、審査時に誤解を招くおそれがあります。特に、線の重なりや色の選定には注意が必要です。図面の視認性を高めるためには、作成後に第三者によるチェックを行い、表記の明瞭さを客観的に判断する体制が有効です。
役所・自治体ごとのルール差
承認図の審査基準は自治体によって異なります。提出書式や記載内容、必要添付資料が異なるため、過去に他の地域で使用した図面を流用した結果、不備として差し戻されることがあります。
たとえば、ある自治体では管種や勾配の明記を必須としていても、別の自治体では図面内に含まれていれば添付資料は不要という場合もあります。このような違いを把握せずに作図を進めると、完成後に修正を余儀なくされるケースもあります。
こうした対応のズレを防ぐには、自治体ごとの基準に沿ったテンプレートやチェックリストを作成・運用することが効果的です。図面作成段階でこれらのルールを反映できていれば、審査通過までのリードタイムを短縮できます。
初心者がつまずくポイントと誤解を解消
承認図の作成には専門的な知識が求められる場面が多く、初めて業務に携わる人にとっては戸惑いやすい工程です。理解不足や認識のズレによって、手戻りや不承認といった事態に直面することもあります。ここでは、初心者が陥りやすい誤解を取り上げ、それぞれを解消するための視点を紹介します。
誤解1:建築図面があればそのまま使える
建築図面には建物の構造や配置は記載されていても、排水経路や公共桝との接続情報は含まれていないことがほとんどです。承認図では、排水管の勾配、桝の型番、道路と接する位置など、排水設備に特化した情報が求められます。そのため、建築図を流用するのではなく、専用の図面として別途作成する必要があります。
誤解2:設備業者に任せれば問題ない
施工を担当する設備業者が承認図を作成するケースはありますが、すべてを丸投げするのはリスクがあります。内容に不備があった場合、行政からの問い合わせや修正依頼が発生することがあり、結果として発注者側に手間が戻ってくることもあります。基本的な構成や記載項目は発注側でも理解し、確認体制を整えることが重要です。
誤解3:過去の図面を流用すれば手間が省ける
同じエリア内や似た建物であっても、配管経路や接続方法は現場によって異なります。特に、公共桝の位置や型番、勾配条件は変わる可能性があるため、過去の図面をそのまま使うと現地状況と食い違うおそれがあります。図面を作成する際は、現地確認をもとに新たに構成し直すことが基本となります。
承認図を効率よく作成する方法
承認図の作成は時間がかかる業務のひとつですが、手順を見直し、適切なツールを活用することで、作業の精度とスピードを両立できます。ここでは、図面作成における効率化のポイントと、現場との連携を強化する方法について解説します。
手書き図とCAD図の違いとメリット
手書きで承認図を作成する場合、細かな寸法の調整や訂正が発生するたびに図面を描き直す必要があり、作業効率が大きく低下します。また、縮尺や記号の統一が難しく、読み手による誤解を生む可能性もあります。
一方、専用のCADソフトを使用することで、図面の構成要素を再利用したり、部品の配置変更を容易に行えたりするため、作図ミスの防止にもつながります。さらに、自治体の申請様式に合わせたテンプレート機能を備えた国内ツールであれば、必要書式をワンタッチで整えることも可能です。こうした環境が整えば、承認図の作成業務は飛躍的にスピードアップします。
業務効率化を実現するポイント
承認図の作成工程を効率化するためには、あらかじめ作業手順を標準化しておくことが有効です。例えば、図面の構成要素をパーツごとにテンプレート化し、案件ごとに流用できるようにしておくことで、毎回ゼロから作成する手間が省けます。
また、縦断図や立面図の作成には計算が伴いますが、専用ソフトの機能を使えば、勾配や高低差を自動的に反映させた図面を生成できます。結果として、記載ミスのリスクが減り、確認作業の負担も軽減されます。
さらに、PDF出力やデータ保存の
機能を活用することで、提出先に応じた形式で即時に書類を準備できるようになります。特に自治体によって求められる出力条件が異なる場合、フォーマットの切り替えや図面の再編集が発生しがちですが、事前に対応可能な仕様で作成しておけば、後工程での調整時間を最小限に抑えることができます。
現場と連携した図面作成体制
効率的な承認図作成には、現場との密接な連携も欠かせません。設計担当者が図面を作成する際、現地状況との不一致があると、承認取得後の施工段階でトラブルを招くことがあります。たとえば、実際の桝位置が図面とずれていた場合、掘削や配管の手戻りが発生し、工程全体に支障をきたします。
こうしたリスクを防ぐには、現地調査を確実に行ったうえで、測量データや確認写真を図面に反映させる仕組みを整えることが重要です。加えて、施工担当者や設備業者との事前すり合わせを行い、図面に対する認識を共有しておくことで、作成段階から実務とのギャップを減らすことが可能になります。
このように、設計・作図・確認の各プロセスにおいて、手間を削減しながら正確性を確保するには、国内での利用実績があるツールの導入や業務フローの見直しが効果的です。個別の対応に追われることなく、安定した品質で承認図を作成できる体制を築くことが、長期的な業務効率化に直結します。
まとめと次のステップ
下水道工事において提出が求められる承認図は、単なる図面のひとつではなく、工事全体の品質と安全性を支える基盤です。設計の意図が明確に伝わること、施工時に不一致が生じないこと、そして行政の基準に準拠していること──これらすべてを満たすためには、承認図の構造や記載内容を正確に理解し、丁寧に作成することが重要です。
図面作成においては、平面図・立面図・縦断図それぞれの役割を踏まえたうえで、必要な情報を網羅的に反映する必要があります。特に初めて関わる担当者にとっては、よくある誤解や形式上のミスを回避するための事前知識と、確認体制の構築が不可欠です。
作業の効率化に向けては、国内で実績のあるCADソフトの導入や、社内での作業フローの見直しも有効です。現地確認との連携や自治体のルールへの対応を含め、承認図作成を仕組み化しておくことで、属人的な負担を軽減し、安定した品質を保つことができます。
弊社ヒトナスでは、給排水衛生設備の設計から給水管取出工事、下水道承認工事、屋内配管工事等、それにまつわる各種届出申請までワンストップで対応しております。長年の実績で得たノウハウで、安心と安全、そして環境に配慮した施工を責任をもって行います。
ヒトナスの基本方針である「おかげさま」の精神で、お客様のお役に立てるよう、誠意と熱意をもって仕事にあたります。
無料相談・お見積りなど、お電話か下記「お問合せフォーム」より、お気軽にお問い合わせください。
承認図の作成で不安や課題を感じている方は、まずはお気軽にご相談いただければと思います。ひとつひとつの案件に丁寧に向き合い、最適なご提案をいたします。

